新型タバコの影響について
フェニックス アート クリニックの特徴の一つは、不妊治療専門施設だけでなく、母体(本院)であるフェニックス メディカル クリニック(アートより徒歩1分)にて、婦人科、内科をはじめとする殆ど全科を見る事ができる事です。これは不妊治療単科のみが多い不妊クリニックとしては、珍しい施設です。
定期的にこの法人全科での勉強会とミーティングがあり、常に新しい情報を入手しています。
先日その勉強会で新型タバコについての発表があり、大変興味深い内容でしたので、かいつまんでご紹介させていただきます。
本院では喫煙者の方からの禁煙相談を受けており、そこで禁煙についてお聞きすると、「新型タバコに変えて、有害物質はほぼないので大丈夫です!」と回答する方が増えてきているそうです。
新型タバコは、禁煙ブームの新戦略として注目を集め、
・健康への被害が少ない
・臭いや煙が出ないので周囲に迷惑をかけない
このようなイメージ・認識で新型タバコに移行する方が多いそうです。
では、実際本当に健康被害は少ないのでしょうか?
“受動喫煙”については、新型タバコの影響はどうなのでしょうか?
INDEX
新型タバコの種類について
<電子タバコ>
カートリッジに入った充填液を電気で加熱し、ミスト状にして味や香りのついたエアロゾル(煙・霧)を発生させて吸引します。
タバコの葉は不使用のため、「タバコ類似品」という分類になります。
国内で流通する電子タバコは、ニコチンを含みません。
しかし、エアロゾル中にホルムアルデヒド等の発がん性物質を多数含んでいます。
<加熱式タバコ>
タバコの葉を直接加熱することで、ニコチン含有エアロゾルを発生させ吸引します。
たばこ事業法の規制対象である「タバコ」に分類されます。
ニコチンの摂取量は従来の紙巻タバコの8割程度になります。
しかし、ニコチンの血中濃度が一定に達しないと満足感が得られないため回数(本数)が増え、ニコチン摂取量が結果的に紙巻タバコと同様になり、ニコチン依存症を起こしてしまいます。症状としては頭痛、めまい、吐き気などを助長する可能性があります。こうした症状は喫煙者・受動喫煙者ともに生じます。
健康への影響について
日本呼吸器学会は、新型タバコについて以下のことを指摘しています。
・健康に悪影響をもたらしている
・受動吸引による健康被害を生じる可能性がある
さらに、日本禁煙学会でも
・加熱式電子タバコは、普通のタバコと同様に危険
・受動喫煙で危害を与えることも同様で、容認できない
と発表しています。
果たして、加熱式タバコはタバコよりいいのか?
タバコと加熱式タバコを比べた結果、依存性の強いニコチンは両者ともほぼ同量含まれ、発がん性を含んだ有害化合物も数分の1程度(発がん性の可能性あり)含むことが判明しています。
新型タバコに変えて禁煙したつもりになっても、実はニコチン依存からは一向に脱却できておらず、長きにわたり有害物質を摂取し続けることになります。
新型タバコの周囲への影響は?
タバコの煙には吸う人が直接吸い込む「主流煙」と、周囲の方に影響のあるタバコの先から立ち上がる「副流煙(受動喫煙)」に分かれます。加熱式タバコは煙がほぼ出ないため、この「副流煙」は存在しません。
しかし、「副流煙」の代わりに、より小さな目に見えない「エアロゾル」が拡散します。このエアロゾルにもニコチン、ニトロソアミン、ベンゾピレン、ホルムアルデヒドが含まれるので、目に見える副流煙より目に見えないエアロゾルの方が怖いかもしれません。
これらの新型タバコの使用が、喫煙者や周囲の方の人体にどれだけ影響を与えるかについては、まだ研究がはじまったばかりでわかっていません。しかし、多くの学会が警鐘をならしているのが現状です。
フェニックス アート クリニックより。
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