アシステッド・ハッチング(AHA)
アシステッド・ハッチング(AHA)とは、透明帯の一部を薄くしたり、穴を開けることで胚の着床を促す技術のことです。
胚の着床〜妊娠に至るまでには透明帯からの孵化が必要ですが、なんらかの要因で透明帯が固くなると胚が透明帯から脱出できず、着床まで至らないことがあります。
対象となる方は凍結融解胚、反復不成功の方、40歳以上の方などです。
アシステッド・ハッチングでは、主にレーザーによる切開と機械を用いた切開方法が採用されています。
レーザーによる切開は、比較的安全に行えることなどから現在のアシステッド・ハッチングの主流です。
胚への大きな影響をできるだけ抑えることができますが、双子になる確率がわずかに上がるといった論文もあります。
機械的切開は物理的に透明帯の部分に針を刺し、高い確率で透明帯の切開が可能です。
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費用
自費診療 20,000円
保険診療 3,000円 -
注意事項
高度な技術を要するため、胚そのものにダメージを与える可能性があります。また流産や異所性妊娠のリスクが増加するといった報告もありますが、リスクは個々の症例によって異なります。
ピエゾイクシー法(Piezo ICSI)
ピエゾイクシー法(Piezo
ICSI)とは、細かい振動を出す特殊な針を使用した顕微授精方法のことです。
ピエゾイクシー法は卵子へのストレスが少なく、かつ比較的受精率の高い顕微授精とされています。
顕微授精の方法には2種類あり、1つは従来のc-ICSI、もう1つが今回のピエゾイクシー法です。
この2つは主に①透明帯の破り方、②細胞膜の破膜の仕方の2点が異なります。
ピエゾイクシー法では「透明帯」という、卵で言うところの「殻」の部分を微細な振動を用いて穴を開けます。
この方法では、物理的に尖った針の先端で透明帯を破るc-ICSI
と異なり、通過させるときに卵子を変形させることがないため、卵子に対するストレスが少なく、c-ICSIと比べて受精率が高くなるともいわれています。
また、②の細胞膜の破り方でも、c-ICSIでは破膜できたかの確認を、細胞質を吸引して行います。
このとき、吸引した細胞質を再度細胞質内に戻す際に、針の中に入っている培養液も一緒に細胞質内に入ってしまう可能性があります。
こうした2つの点から年齢が高い方や卵子の質が良くない方、1〜2個しか卵子が採れなかった方にピエゾイクシー法は効果的であると考えられます。
当院では基本的にピエゾイクシー法を採用しております。
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費用
自費診療 2個以下 160,000円/3〜5個以下 170,000円/6〜9個以下 190,000円/10個以上 220,000円
(※個数=採卵数 ※精子調整代も含みます) -
注意事項
通常のICSIと比較して高度な技術を要します。
PICSI/IMSI(先進医療)
PICSIは、成熟した精子がヒアルロン酸と結びつく性質を利用して、正常に成熟した精子のみを選別し、顕微授精(ICSI)に用いる技術です。この方法で選ばれた精子は、DNA損傷が少ないとされており、受精卵の発育が難しい方に対して用いられることがあります。また、胚移植後の流産率を低減できる可能性も期待されています。
IMSIは1,000倍以上の高い拡大力を持つ顕微鏡を用いて、形態が優れ、質の高いと予測される精子を選び出し、顕微授精(ICSI)を行う技術です。通常のICSIでは400倍の顕微鏡で精子を選定しますが、この方法では、1,000倍以上に拡大することで、精子の頭部にある空胞までも詳細に観察することが可能です。
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費用
PICSI 自費診療 24,000円 保険診療 24,000円
IMSI 自費診療 10,000円 保険診療 10,000円 -
注意事項
全ての症例に効果をもたらすわけではありません。
タイムラプス(先進医療)
タイムラプス(iBIS受精卵観察システム)は、胚(受精卵)を培養機器内でそのまま観察しながら培養を行う技術です。このシステムでは、酸素濃度や温度が一定に保たれた環境が提供されるため、従来の培養機器に比べて環境変動が少なく、受精卵へのストレスが軽減されます。また、最短で15分ごとに培養状態を撮影するため、より詳細な情報が得られ、受精の判定や、胚発生の評価に役立ちます。
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費用
自費診療 30,000円
保険診療 30,000円 -
注意事項
全ての症例に効果をもたらすわけではありません。
カルシウムイオノフォア(Caイオノフォア)
カルシウムイオノフォア(Caイオノフォア)は、顕微授精を行っても、受精率が著しく低い「完全受精障害」に対して、行われる処理です。
細胞周期を正常に進行させるためには、カルシウムイオンの放出が必要ですが、一部の卵子にはこの放出が不足していることがあります。
こういった場合にカルシウムイオノフォアの手法をとることで、卵子内のカルシウムイオン濃度を高め、細胞周期の正常な進行を促します(卵活性化)。
ただし、受精障害の原因は不明な場合が多く、この方法はあくまで卵活性化に問題がある場合のみ効果を発揮し、すべての方に効果があるわけではありません。
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費用
自費診療 30,000円
保険診療 3,000円 -
注意事項
比較的新しい技術であり、長期的な安全性に関するデータは十分に蓄積されていません。過度なカルシウムの流入が発生すると、細胞機能が損なわれ、卵子や胚の生存率が低下することがあるため、全ての症例に効果をもたらすわけではありません。
※医師が必要と認めた場合のみ
ZyMōt(先進医療)
ZyMōt(ザイモート)スパームセパレーターは、特殊なフィルター(メンブレン)と精子の運動性を利用して、最も運動性が高く機能的な精子を効率的に抽出する技術です。
この方法は短時間で行われるため、精子に対する物理的なダメージを軽減できますが、従来の方法に比べて精子調整後の回収量が少ない点や、原精液の状態によっては良好な運動精子を十分に回収できないというデメリットがあります。また、精子の回収量が少ないため、体外受精を希望していても、顕微授精(ICSI)が適用される場合があります。
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費用
自費診療 33,000円
保険診療 33,000円 -
注意事項
有効性については現時点ではさらに検証が必要とされています。
SEET法(先進医療)
胚は培養液中に様々な物質を放出しています。特に、胚盤胞まで到達した胚に関しては、子宮内膜に対して着床を促すような物質が放出されているのではないかという仮説から、このSEET法は提案されました。
方法としては、採卵し胚盤胞まで到達した胚を培養していた培養液を保存しておきます。移植周期の胚盤胞移植日2、3日前に凍結した培養液のみを融解し、子宮内へ注入します。子宮内に先に注入した培養液中の物質が子宮内膜を刺激し、胚を戻すまでに着床しやすい環境を作り出してくれるのではないかという効果を期待して行います。
メリットとしては、2段階胚移植法(2step)のように2つの胚を戻すわけではないため、多胎のリスクはSET(単一胚移植)と同等です。ただ、来院日が1日増えることによる負担が加わります。
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費用
SEET液注入 自費診療 20,000円
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注意事項
処置時に痛みを伴う可能性があります。また子宮内操作による感染のリスクが考えられます。
スクラッチ(先進医療)
スクラッチ(子宮内膜スクラッチ)は、意図的に子宮内膜に小さな傷をつけることで、その修復過程で分泌されるインターロイキンなどのサイトカイン(タンパク質)の作用を利用し、着床しやすい子宮環境を作り出す方法です。
高度生殖補助医療(ART)において、良好な胚を移植しているにもかかわらず、何度も着床や妊娠に至らないケースがあります。着床不全の原因には、子宮内膜症や子宮内膜ポリープなどさまざまな要因があり、その中には原因不明の反復着床障害も含まれます。最近では、これらの原因不明の再発性着床障害に対する有効な治療法として注目されています。
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費用
自費診療 10,000円
保険診療 10,000円 -
注意事項
処置時に痛みを伴う可能性があります。
低用量hCG子宮内注入
胚移植前に低用量のhCGを子宮内に注入することで、子宮内膜受容能を向上させることが報告されています。
子宮内へのhCG注入により着床率、妊娠率の改善、流産率の低下を期待できます。
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費用
自費診療 10,000円
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注意事項
処置時に痛みを伴う可能性があります。
また子宮内操作による感染のリスクが考えられます。
PFD-FD
血小板由来因子濃縮物(PFC-FD™)療法とは、患者様自身の血液から抽出した血小板由来の成長因子を子宮内に注入する方法です。当院では子宮内膜が十分な厚さにならない方や反復着床不全の方を対象として、PFC-FDの子宮内注入を行っております。
PRP(多血小板血漿、platelet-rich plasma)療法では血小板そのものを使用しますが、PFC-FD™療法では血小板から抽出した成長因子のみを注入します。この成長因子により子宮内膜が厚くなることや着床率の改善が期待できます。
卵子凍結保存
卵子凍結とは、受精前の卵子を凍結することです。
がん患者などに対して妊孕性温存のために行われる「医学的適応」と、加齢による卵子の老化を懸念して行われる「社会的適応」の2種類に分類されます。
当院では「現時点で結婚はしていないが、将来の妊娠に備え、未受精卵の状態で保存しておきたい」など、社会的適応の卵子凍結を行っております。
医学的適応については日本産科婦人科学会、日本生殖医学会、アメリカ生殖医学会すべてにおいて推奨しています。
対して、社会的適応については日本産科婦人科学会、アメリカ生殖医学会ともに推奨しておらず、日本生殖医学会においては、40歳以上では推奨しないなどの条件を設けているようです。
社会的適応の卵子凍結が推奨されない理由としては、以下の3つがあげられます。
- 1. 通常の体外受精に比べ、凍結卵子を使用した場合の妊娠率の低さ
- 2. 不妊ではない、健康な女性に対しての採卵時の身体的負担
- 3. 融解胚移植後の高齢出産のリスク
費用に関して、通常の体外受精よりも高くなります。そのため、当院で卵子凍結を行う際は卵巣刺激や凍結個数などにより調節を行い、できる限り無理のない範囲でのご希望に添えるような形での卵子凍結を行っております。
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費用
自費診療
項目 | 社会的適応(40歳以上) | 社会的適応(40歳未満) |
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採卵0個 | 30,000円 | 100,000円 |
採卵1~2個 | 150,000円 | |
採卵3~5個 | ||
採卵6~9個 | ||
採卵10個以上 | 200,000円 | |
凍結 | 30,000円/個 | 10,000円/個 |
保管更新料 | 20,000円/個 | 20,000円/個 |
融解 | 10,000円/個 | 10,000円/個 |
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注意事項
解凍後の妊娠率は年齢や卵子の質によって大きく異なりますが、一般的には未受精状態の卵子の凍結は胚盤胞凍結の妊娠率よりも低下します。
また、母体の高齢化に伴うリスクを下げることには直結しません。
卵子凍結は妊娠を先延ばしにするためのものではありません。将来の選択肢を増やすためのものです。
その際に凍結した卵子での妊娠が可能であるように、最新の知見と高い技術力をもとに卵子凍結を行っております。また、若い卵子を用いると妊娠の確率は上がりますが、妊娠時の母体の年齢が高くなると周産期のリスクが上昇することには変わりありません。当院では、3年以内に使用していただくことを目途に、価格設定をしております。
シェーバ型子宮内膜ポリープ切除(TruClearTM)
TruClear™(ティッシュリムーバルシステム)は、電気エネルギーを使用せず、シェーバーの回転によって子宮内の病変を切除・吸引するデバイスです。
これまで子宮鏡(子宮鏡とは子宮の中に入れる内視鏡のこと)手術を行う際には、検査(子宮内の観察)を行なうための柔らかく細めな軟性子宮鏡と、手術(ポリープや筋腫や癒着を取る)のための硬くて太めな硬性子宮鏡の2種類を用いてきました。硬性子宮鏡は径が約10mmと大きいため、手術の際には子宮の出口を広げる処置(子宮頸管拡張術)を行わなければならず、それが強い痛みを伴うために全身麻酔を必要とし、そのため外来ベースで行うことはなかなか困難でした。
トゥルークリアは5mmと径が非常に細く、負担が少ない手術です。そのため基本的に局所麻酔のみで日帰り手術することが可能です。
対象物を吸い込み機械の内部でカットするため、正常な組織などをカットする可能性が低く、高い安全性をもちます。
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費用
自費診療 90,000円
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注意事項
従来の子宮鏡手術より確率は非常に低くなりますが、子宮穿刺のリスクがあります。
- ※自費診療は税込表記です。
- ※保険診療には消費税は発生いたしません。
- ※費用は予告なく変更する場合があります。