いま流行りの“プレコンセプセンションケア” ~ビタミンDについて~
INDEX
プレコンセプションケアって知ってますか?
コンセプション(conception)とは妊娠すること。プレコンセプションケア(Preconception care)とは、将来の妊娠に備えて、女性やカップルが自分たちの生活や健康を整えていくことをいいます。若い女性のやせや肥満、栄養不足が不妊やリスクの高い妊娠の可能性を高めることが知られています。近年、日本においても注目されるようになってきました。
特に日本人女性の場合、食事の栄養の偏りによる「やせ」の問題が心配です。先進国におけるやせすぎ女性(BMI18.5未満)の比率が日本では圧倒的に高く、それに伴う各種栄養不足も懸念されています。
ビタミンDってなに?
ビタミンは、三大栄養素である脂肪、糖質、たんぱく質などとともに人間が生きていくうえで必要不可欠な栄養素の一つです。その中で、脂溶性ビタミンの一つであるビタミンDが近年、注目を集めています。
体内のビタミンDの大半は皮膚において紫外線の照射によって生成され(1日15〜30分の日光浴で健康維持に必要なビタミンDを作ることが出来る)、一部は食事として摂取されます。ビタミンDは、小腸からのカルシウムの吸収を高め、骨形成を促進して骨量の減少を抑えるはたらきをしています。
最近では、ビタミンD欠乏がガン、関節リウマチ、炎症性腸疾患といった炎症性疾患と関連することがわかっています。そして、女性の健康においても、ビタミンD低値が不育症や体外受精における着床率の低さ、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患と関連があることが指摘されています。
ビタミンDと不妊治療
体内にビタミンDが十分にあると、着床率、妊娠率・出生率の向上に関連することがわかっています。さらに流産率の減少傾向にも関係していることも知られています。男性の性機能障害や精子の質といった過程にもビタミンDが大きく関わっているようです。
ビタミンDと妊娠中の合併症
ビタミンDの不足が、妊娠中の合併症(妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、胎児発育不全)の頻度を増加させるとする報告もあります。妊娠・授乳期のお母さんのビタミンD濃度が、うまれてくる子供の小児期や思春期の成長にも関係するとも言われています。
ビタミンDと子宮内膜症、子宮筋腫
子宮内膜症では、ビタミンD摂取がリスクを減少させることが報告されていますし、重症子宮内膜症患者では特にビタミンD欠乏がひどいことがわかっています。ビタミンDが子宮内膜症の炎症物質の分泌や増殖を抑えることもわかっています。
子宮筋腫では、患者の多くに低ビタミンD血症を認め、血清ビタミンD値の上昇が子宮筋腫のリスクの低下と関連することが報告されています。
妊娠を希望しているときになかなか治療の難しい子宮内膜症や子宮筋腫ですが、今後のさらなる研究発展に伴い、ビタミンDによる子宮内膜症、子宮筋腫の症状改善や発症予防が期待されています。
ビタミンDってどうやってとるの?
日本人のほとんどがビタミンD不足と言われています。ビタミンDは体内で合成されますが、十分ではありません。食事からの摂取の目安量は1日8.5μg(日本人の食事摂取基準2020年版)とされ、特に魚類に多く含まれますが、日々の食事から十分量を摂取するのもなかなか容易ではありません。海外では、ミルクなどの乳製品に含まれていたり、サプリメントでの摂取が積極的に行われています。
フェニックス アート クリニックでは、ビタミンD値を調べることができ、またビタミンDのサプリメントの販売も取り扱っています。1日1カプセルの服用で、1カプセルあたり25.0μgのビタミンDが含まれています。食事での摂取が偏りがちな方や不安な方は是非活用してみてください。
フェニックス アート クリニック医師
宮下 真理子