お役立ちコラム

COLUMN

妊娠に必要な栄養素について

〜足りていますか? 妊娠に大切な栄養素・・・鉄〜

 

こんにちは。フェニックス メディカル クリニック管理栄養士です。

本日は、妊娠に必要な栄養素についてお話しします。

 

「鉄」という言葉を聞くと思い浮かべるイメージはなんですか?

鉄は赤血球をつくったり、体内へ酸素を運んだりといった働きをするほか、子宮の粘膜をつくる材料にもなります。

鉄不足になると「貧血」をイメージしますが、それ以外にも「肌荒れ」「睡眠障害」「うつ」など様々な症状を引き起こします。

また鉄不足は、妊娠中の赤ちゃんの成長に影響したり、出産後は母乳にも影響します。

もしかして「隠れ貧血」かも

 

私達の体の中には「積極的に働いている鉄」と「ストックとして蓄えられている鉄」があります。

その70%が積極的に働いている鉄、いわゆる「ヘモグロビン」で、酸素をたくさん取り込んで体の隅々まで運ぶという重要な役割を持っています。そのため、不足すると酸素が届かなくなり、卵巣や子宮の働きが鈍くなる可能性があります。

残りの30%がストックとして蓄えられている鉄です。「フェリチン」というタンパク質の一種が鉄を貯めることが出来るため、貯蔵庫のような働きをして体内に鉄を貯めています。

体内に取り込まれた鉄は、優先的にヘモグロビンの方へ回されます。そして余ったものがフェリチンに蓄えられます。

ところが、出血や鉄不足の時はフェリチンに蓄えられた鉄から使う事になるため

ヘモグロビンの鉄よりフェリチンの鉄の方が先になくなってしまいます。そのため

必要な鉄を補わずに貯蔵庫から出して使ってしまうと、体内の貯蔵量がどんどん減ってしまい鉄不足になると考えられます。

 

最近、ヘモグロビンの値は正常値を示しているけれど、フェリチンの値を調べてみると数値が低く隠れ貧血(潜在性鉄欠乏)と診断される方が増えています。

最近では、この隠れ貧血が妊娠に影響があるのではないか?と言われています。

 

<ヘモグロビンの基準値>

男性:13.1〜16.3g/dl

女性:12.1〜14.5g/dl

 

<フェリチン値の基準値>

男性:21〜282ng/ml

女性: 5〜157ng/ml

 

もし次のような症状があれば、一度「フェリチン」を調べてみるといいかもしれません。

 

□朝起きるのがつらい

□手足がいつも冷たい

□肌荒れ

□風邪が治りにくい

□頭痛や体がだるい

□イライラする、眠れない

□アザができやすい

 

※妊娠を望んでいる場合、フェリチン値は60ng/ml以上を目指しましょう!

 

鉄を多く含む食べ物を摂取しましょう

 

<鉄の1日の摂取推奨量>

男性(18〜74歳):7.5mg/日

女性(15〜49歳):10.5mg/日(月経あり)

 

食べ物に含まれる鉄には肉や魚など動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と野菜や穀物などに含まれる「非ヘム鉄」があります。

 

〔ヘム鉄〕主に肉・魚などの動物性食品に含まれ、非ヘム鉄に比べて体内への吸収率が高く吸収率は約15%〜25%です。

 

〔非ヘム鉄〕野菜、貝類、穀物など植物性食品に含まれ、ヘム鉄と比べて吸収率が低く約5%程です。

 

鉄の摂取ポイント

 

鉄は、吸収率が低い為、一度にたくさんとっても大部分が排出されてしまいます。

そのため、毎日の食事で鉄を補うことがポイントです。

特に女性は、毎月の生理で鉄が失われるので意識して毎日の食事に取り入れましょう。

ヘム鉄の吸収率は高いですが、ヘム鉄を多く含む動物性食品の摂りすぎは、エネルギーや脂質、タンパク質の摂りすぎに繋がる事があります。色々な食品と組み合わせて、バランスよく摂るようにしましょう。

 

◎次のポイントに気をつけましょう。

●一度に大量に摂取するのではなく、毎日摂るように心がけましょう。
●ビタミンCは鉄と一緒に摂取すると鉄の吸収を良くするので、ビタミンCを多く含む野菜や果物と一緒に摂るようにしましょう。
●吸収率の低い非ヘム鉄は、動物性タンパク質と一緒に摂って吸収率を高めましょう。
●鉄製の鍋やフライパンを取り入れてみましょう。
●酢や梅干し、香辛料などは胃酸の分泌を高め鉄の吸収を高めるので、適量摂りましょう。
●ひじきや切り干し大根など作り置きが出来るものは毎日食べましょう。
●食前・食後にタンニンを含む飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶)は鉄の吸収を妨げるので控えましょう。
●普段の食事で鉄を摂りすぎるということはありませんが、サプリメントでの過剰摂取には気をつけましょう。

 

鉄は普段の生活から妊娠・出産、胎児の発育のためにとても重要な栄養素です。

日頃の食生活に気をつけて上手に取り入れていきましょう。

 

 

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