子宮腺筋症がある時のアプローチ方法【動画あり】
こんにちは
フェニックスアートクリニック院長の藤原です。
今日は不妊症における合併症の中であまりなじみはないのですが、時々遭遇する
そして対応がなかなか難しい子宮腺筋症という疾患について少しお話をしたいと思います。
子宮腺筋症がある時のアプローチ方法
併せて、テキストも掲載いたします。
子宮腺筋症と子宮筋腫の違い
婦人科の疾患の中でよく見かけるもの、よく目にするものとしてはおそらく子宮筋腫であるとか子宮内膜症、卵巣嚢腫といったものが有名じゃないかと思います。
それに対しまして子宮腺筋症というのは結構あるのですがあまりなじみがない。
どのような病気かというと、まず子宮にできる病気です。
この点では子宮筋腫と同じなのですが、子宮筋腫というのは子宮の壁の筋肉、平滑筋という筋肉にできる良性の腫瘍です。
ですので、正常な部分と病気の部分というのがはっきり分かれます。
したがって、もし治療が必要となった場合、特に手術が必要となった場合も比較的正常部分と明確に分けられるので数や大きさによって難易度はありますがきちんと取り除く事ができます。
それに対しまして子宮腺筋症というのは、どちらかというと子宮内膜症という病気がありますがそれに似た組織が子宮の筋肉の壁の中にどちらかというと瀰漫性、これは一様にということなのですが、入り込んできてますので正常な部分とそれから病気の部分というのが明確に区別ができません。
したがって手術で簡単にとりのぞくという事がなかなか難しい病気です。
症状はというと、残念ながら子宮筋腫、子宮内膜症の悪い所取りをしています。
つまり、子宮筋腫と同じように子宮が大きくなりますから例えば、状況によっては生理が増えてしまう、そして貧血になってしまう事があります。
そして子宮の中の空間に影響を与える事によって着床を妨げたりして不妊症の原因になります。
一方で、子宮内膜症の時に見られる月経痛(生理痛)もかなり強く見られます。
したがってあまりありがたくない病気と言えます。
子宮腺筋症と不妊治療
原因ははっきりわかっていませんが、どちらかというと40代の方に多い病気と言えます。
ただ、最近の不妊症患者さんが比較的高齢化してきていることもありまして不妊症の方で子宮腺筋症を認めることも多々あります。
では子宮腺筋症を持っている患者さんの場合どのように対応すればよろしいでしょうか?
まず程度が軽ければ痛みに関しては対処的に痛み止めを使ったりしていきながら他に不妊症の因子があればそちらの治療をし、必要ならば体外受精をやっていく形になります。
問題は少し程度が進んだ場合で、かなり大きくなってきますと普通の体外受精などを行った場合でも着床がなかなか難しくなります。
その場合は一概には言えませんが、子宮腺筋症に対して有効であるGnRHアナログという薬剤があるのですが、これを使うことによって子宮腺筋症を若干萎縮させることができます。
したがいまして、体外受精とのコンビネーションという事になりますが、事前に採卵して受精卵(胚)を凍結しておきます。
その後で2か月もしくは3か月今申し上げたアナログという薬剤を使ってまず生理、排卵を抑えてしまいます。これによってエストロゲンというホルモンが低くなることにより子宮腺筋症は若干萎縮します。この状態で必要なホルモンだけを補って子宮の内膜を上手く調節してあげて胚を解かして戻すことを行うことによってなんとか上手く妊娠・出産に至ることも可能です。当院でもそういった面に注意して治療を進めていっております。
以上、不妊症と子宮腺筋症の合併した場合とのお話でした。
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