男性側の不妊原因として注目される精索静脈瘤
精索静脈瘤[せいさくじょうみゃくりゅう]は精巣を流れる静脈の拡張と定義され、血液がうっ滞した状態、すなわち血液が逆流して瘤[こぶ]状に腫れるものです。
INDEX
【診断】
だらりと弛緩した陰嚢内に、立位腹圧下で拡張した血管を視診、触診で確認します。
確定診断は超音波検査で静脈血の逆流現象を確認することで行います。
【症状】
痛みなどはなく、「不妊」以外は特にないのも特徴です。
【頻度】
一般男性の約15%に認められます。不妊症の男性では約40%、
二人目のお子様ができにくい「続発性不妊症」の男性には約80%に認められます。
【精索静脈瘤と男性不妊の関係】
精子は高温により死んでしまったり機能が損なわれてしまうと言われています。
精索静脈瘤があることによって精巣周辺のラジエータ機能が損なわれて結果として温度が上昇することが精巣機能に影響を及ぼすと言われていますが、十分に解明されていません。
実際に精索静脈瘤があっても精液検査に異常所見が認められない方がおられたり、精液検査が不良であってもお子様ができたりするカップルがいらっしゃることも経験しています。
精索静脈瘤のある男性の80%は生殖能力を有しているとする報告もあります。このことは、精索静脈瘤が男性の生殖能力にどの程度の影響を及ぼしているかの判断を複雑にしています。
【治療方法】
精索静脈瘤の治療は手術療法です。お薬では治りません。
では、どのような患者様が手術の対象になるのでしょうか。
この手術を1952年に初めて行ったTulloch医師が、無精子症であった患者様に手術をおこなって精子濃度が27百万/mlに改善して挙児を得たと報告してから手術療法が注目されてきました。
そして、私もお目にかかったことのある米国のHowards医師らが多数例の集計を行い、精液所見の改善率は平均66%、妊娠率は平均43%と論文で発表しています。
また、精索静脈瘤の程度が高いほど、術後の精液所見の改善が良いとの報告もありますが、最終的には挙児を得られない患者様もいらっしゃり、もどかしさも感じています。また、治療効果の予測因子についても、皆様に提示できるものが見当たらないのが現状です。
男性不妊専門医も、どのような患者様に手術を勧めるか正直のところ悩んでいます。私は女性側の検査において問題のない患者様には、男性側に早い段階で男性不妊の精査を行い、精索静脈瘤を含め治療を要する疾患が潜んでいないか明らかにして差し上げたいと思っています。
精液検査が正常であっても妊娠されない方、妊活中のカップルに悔いの残らないようにしてほしいと思っております。
積極的に男性不妊外来の扉を開いてください。
フェニックス アート クリニック医師
男性不妊外来専門医 岩本晃明
フェニックス アート クリニック 男性不妊外来
火・土曜日(不定期月4回) 13:00~17:00(予約16:00まで)
※完全自費診療
※精密検査は他院へご紹介いたします。
※予約制です。
男性のみの受診も可能です。ご予約は「初診の方へ」をご確認ください。
なお、予約制ではございますが、当日のご予約も可能です。ご希望の方はスタッフへお声がけください。