お役立ちコラム

COLUMN

~新型肺炎について~
妊娠中や授乳中、妊娠を希望される患者さまへ

 

フェニックス メディカル クリニックの賀来哲明です。

(フェニックス メディカル クリニックは、アート クリニックの本院です)

どのテレビやネットニュースでも常に取り上げられている新型コロナウィルス(2019-nCoV)について妊娠中や不妊治療中の方にフォーカスを当ててお話しします。

妊娠中や妊娠を希望し当院を受診されている方も新型肺炎(2019-nCoV)について心配しているかと思います。現在、感染が落ち着く様子はまだなく、治療薬やワクチンも確立していません。

まだ情報は十分とはいえませんが、2月に入り様々な学会から新型コロナウィルスに対しての発表がありました。その中でいくつか妊娠中や妊娠を希望する患者様への内容も含む部分がありましたのでかみ砕いてお伝えいたします。

 

新型コロナウィルス(2019-nCoV)とは

中国保健機関が公表した「原因不明の肺炎」は既に遺伝子も同定され、現在は新種のコロナウィルス(2019-nCoV)が原因であることがわかっています。感染経路として当初は動物からヒトへの感染のみとされていましたが、ヒト―ヒト感染も報告され、現在も感染者数は増加しています。また武漢では出生直後の赤ちゃんに感染があったという報告もあり母体からの感染が疑われていますが、現時点ではまだ詳しい検査などがされておらず医学的根拠は不十分な状況です。

 

妊娠と新型コロナウィルス

2009年のH1N1インフルエンザにおける妊婦における重症化や死亡率の増加からも今回の新型肺炎でも同様のことが起きる可能性があると考えています。

母体に関して言えば妊娠中は子宮が大きくなり、呼吸をするために大事な横隔膜を持ち上げる形になるため、自由に使える肺のスペースの減少が起きます。

そのため、肺炎などにかかると呼吸がしづらくなりやすい状況になる上に、赤ちゃんを受け入れるために免疫機能を一時的に寛容状態にするため感染症が重症化しやすくなることがわかっています。そして母体に高熱などの重症化が起これば胎盤でつながる赤ちゃんにも悪影響が起きてしまいます。

妊婦さんへの治療としてはコロナウィルスに対して有効な抗ウィルス薬がないため、十分な補液による脱水の補正、細菌への重複感染を防ぐ必要がある場合は抗菌薬を投与し全身状態の改善を目標とします。

 

妊娠中はお母さんと赤ちゃんにとってとても大切な時間であり、妊婦の皆様は特に発熱などが起きたら「新型肺炎かしら?」と心配になると思います。

妊娠中の発熱は尿路感染や子宮の感染であることが多く、呼吸器症状があるとしてもインフルエンザによる感染などの可能性も考えられるため、まずはご自身の症状をしっかりと把握し、落ち着いた対応が必要です。

そして現在、症状がない方でも妊娠中は十分に感染予防に気を付ける必要があります。

 

また授乳については、新型コロナウィルスへの感染者、もしくは感染が強く疑われる患者様は分娩先の医師としっかり相談をすることが必要です。新型コロナウィルスに感染することで母体の血液の中にウィルスがいる(母乳は血液を材料に作られます)と考えられるため児への感染を防ぐため、授乳は控えるべきとの判断をすることがあります。

 

不妊治療中と新型コロナウィルス

現時点においては不妊治療に与える影響などはわかっていません。しかし大事なことは、妊娠を希望されている方に対しては不妊治療中への影響に加えて、妊娠初期などに感染してしまうリスクも考えなくてはなりません。

2016年に流行したジカ熱(詳しくはコラム「妊活中の旅行について<後篇>〜不妊治療中のワクチン摂取」を参考にしてください)のように妊娠中に感染すると小頭症などの先天性の障害をきたすウィルスもあります。今回の新型コロナウィルスにおいてはそのような報告はまだありませんが、不妊治療をしている皆様も人込みを避ける、手洗いなどの徹底が必要と考えます。

 

このように治療薬やワクチン、そしてウィルスの全貌が十分につかめていない状況下では何よりもまずは個人でできる限りの予防をすることが大事と考えて間違いありません。

妊娠中や妊娠を希望される方の予防方法

注意すべき点は一般的に言われている対策をまずは踏襲してください。日本産婦人科感染症学会の発表などから要点をまとめると

 

  • ●人込みを避ける
  • ●こまめな手洗い(外出先、帰宅後以外でも常に意識する)
  • ●消毒用アルコール(70%)を使用する
  • ●手すりなど接触機会の多いものは次亜塩素酸ナトリウムなどで拭いておく。
  • ●妊婦健診や不妊治療など医療機関への受診時などはマスクを着用する

 

について注意が必要です。ウィルスは細菌や花粉に比べてとても小さくマスクでは防ぐことができなかったり、頬の隙間部分から入り込んでしまう可能性があり、WHOも一般の方がマスクをつけることに大きな効果はないとしています。

 

しかし、当院としてはマスクをすることで口や鼻を触る機会が減ること、手洗いなど感染予防への意識の向上、コロナウィルス以外の感染症もあるため病院などではマスクの意義があるのではないかと考えています。

たまにマスクを外した際にあちこちに置いたり、鼻や口が出てしまっている患者様をお見掛けしますが、接触感染するウィルスに対して逆に感染リスクを上げてしまわないか心配になります。着脱の際もマスクのひもを持つようにし、可能であれば1日に数回取り換えることをお勧めします。

 

SNSなどによりさまざまな憶測が飛び交い不安になることも多いかと思います。情報の確かさが何よりも大事ですので憶測やデマに流されず信頼できる情報を得ることが大事だと思います。日々、最新の情報が出てきていますので情報を随時アップデートしていきましょう。

厚生労働省のHPなどにもQ&Aがあり非常にわかりやすくまとまっています。こちらも参考になるため一度チェックしてください。

 

新型コロナウイルスに関するQ&A(厚生労働省)

 

*フェニックス メディカル クリニック、フェニックス アート クリニックでは新型コロナウィルスに対する診断や治療を行うことはできません。感染が疑われる場合は以下の手順通りの対応をお願いいたします。

フェニックス メディカル クリニック

※フェニックス メディカル クリニックは予約不要となっております。

 

 
 
 
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