PCOS多嚢胞性卵巣症候群を合併した不妊症の方のアプローチ【動画あり】
こんにちは
フェニックスアートクリニック院長の藤原と申します。
本日はPCOS多嚢胞性卵巣症候群を合併した不妊症の方のアプローチについてお話をしたいと思います。
併せて、テキストも掲載いたします。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは
多嚢胞性卵巣症候群つまりPCOSと今後言いますけれども、これは実は非常にポピュラーな病気と言えます。と言いますのは通常の生殖年齢女性、初経から閉経までの女性ですけれどもこのおそらく5%から8%程度はこういった状態であるというふうに言われています。したがって10数人から20人に1人は必ずそういう状態ですので、比較的頻繁な、したがって特殊ではない病気なんですね。どういう症状があるかと言いますと、まずはだいたい初経から始まって継続する希発月経これはきちんと月経が来ないということです。いわいる不順と言うことになるでしょうか。ひどい人になると2か月3か月来なかったりそれがずっと続いたりします。そしてあまり日本人には多くはないのですが、多毛少し毛深くなったりとか、ニキビができたりとかということもありますし、これも日本人でも多くはないのですが、比較的太った方、肥満、といったことがみとめられると言うことになります。
問題となるのが不妊症、排卵障害
ただ実際に私たちが問題となるのが不妊症、排卵障害があるわけですから、ふつうの方法ではなかなか妊娠しづらいということになります。したがいまして、最初に多嚢胞性卵巣症候群の方がクリニックにいらっしゃった時はまず診断つけた上で、排卵誘発剤というのを使っていきます。ただその前に気を付けなければいけないのが、日本人には少ないと申しましたけれども、中には体重が比較的多い方がいらっしゃいます、その場合には、まずウエイトコントロールをして頂きます。この場合大事なのは急激なダイエットを行うのではなくて緩やかに食事やエクササイズなどで下げてもらうことが大事で例えば理想体重まで下げなくても現在の体重の5%程度ダイエットするだけでも、十分月経が戻ってくる、あるいは排卵誘発剤に対する反応性が増してくると言われてます。
薬物療法について
実際に薬物療法を行う時には、まず第一に使うのがクロミッドと言う薬をよく使います。ただアメリカなどですとこれは保険適用にはいないのですが、本来乳がんの治療薬であるレトロゾールと言う薬を使うこともあります。私たちの施設ではどちらの方も使って、必要なかたちで排卵誘発を行っていきます。程度の軽い方はこれで約3分の2くらいは排卵が誘起できますので他に問題なければ妊娠が比較的容易に成し遂げられます。でも非常に重症な方の場合はこの程度では上手くいきません。その場合にはより強い薬であるFSH薬を使うことになります。これは注射薬なのですが、これを使えば、ほとんどの人が卵、卵胞が発育することは間違いないんですけれども、一つ悩ましいことがあって、打ちすぎるとたくさん一挙に増えてしまうと言うことがあります。そうしますと多胎妊娠であるとか、排卵した後の卵巣過剰刺激症候群OHSSと言いますけれども、こういった副作用の問題も出てきます。したがいましてあまりこう、性急ならないで注射を打つ場合にはごく少ない量のFSH通常は50単位なのですが、ペン型と言う非常に便利なツールがありますので、これを毎日打ちながらだいたい2週間少し程度かけまして徐々に上げていってそして願わくは1個だけの卵胞の発育を促すとそして排卵にもっていくと言う方法がとられます。ただ中にはこうやって注意深くやっても1つだけでなく、たくさんの卵胞が発育してしまって、非常にコントロールが難しい方もいらっしゃいます。その場合には体外受精のほうへ進むのですけれども、この場合は1回卵子を採ってきますので、複数個の卵胞発育があってもいいわけですけれども、この場合でもやはりOHSSの発生には十分注意しなければいけませんので、卵巣刺激の方法には一工夫が必要になります。私たちがよく用いるのは、GnRHのアンタゴニストと言うのを用いてしかもできれば先ほどもお話しましたレトロゾールを併用しますと、エストロゲンの上昇は抑えられます。さらに卵子の成熟との最後にトリガーしなければいけないのですが、この時には決してHCGは使わないでスプレーで最後はトリガーすると、こういったことに注意してあげれば十分OHSSをコントロールできながら、たくさん卵を育てるそしてひとたび卵子が採れればたくさん胚獲得できますので、これをいったん全胚凍結してから、そしてのちの周期に胚移植してあげる、これによって非常に高率な妊娠が期待できます。このように非常にポピュラーであるけれども、その臨床像によって色々対処方法が異なってくる多嚢胞性卵巣症候群ですけれども、注意深く対応することによって安全に妊娠に結びつけることができる、そのように考えております。
以上、多嚢胞性卵巣症候群を合併した不妊症の方に対する対処方法についてのお話でした。
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