慢性子宮内膜炎(CE)検査
慢性子宮内膜炎(CE)検査とは、子宮内部の粘膜(子宮内膜)に炎症があると出てくる形質細胞がないかを確認する検査のことです。
子宮の異変により慢性的に炎症を起こしている状態が「慢性子宮内膜炎」で、自覚症状がないうえに自然治癒が難しい病気とされています。
着床不全の一因とも考えられていることから、当院では3回以上移植をし、4個以上の胚を戻したうえで結果が出ない方への検査をおすすめしています。
検査方法
専用の器具を用いて子宮内膜の一部を採取します。
一般的な方法は「キュレット」と呼ばれる器具で掻き出すようにして細胞の一部を採取しますが、当院では吸引法を用います。
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費用
自費診療 25,000円
(慢性子宮内膜炎と判断された場合は、抗生物質を2週間服用していただきます) -
注意事項
検査後、数日少量の出血が持続する場合があります。
※事前予約が必要です。
子宮内膜受容能検査(ERA)
子宮内膜受容能検査(ERA)は子宮内膜が胚を受け入れられる環境かどうかを調べ、その方にとって最も適切なタイミングで胚移植することを目的とした検査です。胚移植の時期と着床のタイミングが合っているか否かを評価する目的で開発された検査です。
子宮内膜はいつでも胚を受け入れることができるわけではありません。
胚と子宮内膜両方のタイミングが合わなければ、着床出来ないといわれていますが、子宮内膜が胚を受け入れる(着床可能な)期間は、一般的に生理19~21日目頃であるといわれており、この期間は「着床の窓(インプランテーション・ウィンドウ)」と呼ばれています。排卵後または黄体ホルモン投与開始から5日前後に受け入れ可能となると言われています。受け入れが可能となっているはずの時期の子宮内膜を採取し、遺伝子の発現を調べることでその時期の子宮内膜が胚を受け入れる状況かどうかを調べることができます。時期がずれていた場合には、胚移植の時間をずらしていくことで対応が可能です。
検査方法
胚移植周期と同様に月経中からエストロゲン製剤を使用し、子宮内膜を厚くします。
子宮内膜が厚くなった事を確認し、内膜を成熟させるためのプロゲステロン製剤を投与します。
プロゲステロン製剤を使用して数日後、胚移植を行うタイミングと同じタイミングで子宮内膜組織を採取します。
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費用
自費診療 150,000円
※先進医療対象/保険診療と併用できます。 -
注意事項
子宮内膜を採取する検査なので、検査中は軽度の痛み、検査後は数日少量の出血が持続する場合があります。
※事前予約が必要です。
子宮内フローラ検査
子宮内フローラ検査とは、腟や子宮内に存在する善玉菌であるラクトバチルス属菌の割合を確認するための検査です。
良好胚を移植しても、着床しない反復着床不全、流産を繰り返す等の場合に行います。
子宮内には様々な細菌が存在するため「子宮内フローラ」と呼ばれています。子宮内フローラが乱れて善玉菌が減少すると、子宮内膜で免疫が活性化し、胚を異物として攻撃する可能性があると指摘されており、これが着床や妊娠の継続に影響を与えると考えられています。
検査方法
子宮内腔液を採取します。
タイミング
月経期以外の日(検査直後の内膜は、着床には不向きな状態となるため、妊娠を期待する周期では検査は推奨しません)
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費用
自費診療 50,000円
※先進医療対象/保険診療と併用できます。 -
注意事項
侵襲性のある検査なので出血する可能性があります。またそれに伴う感染症リスクから、適宜抗生剤を処方しています。
※事前予約が必要です。
TRIO検査
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費用
自費診療 200,000円
※先進医療対象/保険診療と併用できます。 -
注意事項
いずれも子宮内膜を採取する検査なので、検査自体は少し痛みを伴います。
※事前予約が必要です。
子宮鏡検査
子宮鏡検査とは、子宮内部の粘膜(子宮内膜)に異常がないか確認するための検査です。
子宮内のポリープや筋腫、子宮奇形が疑われる場合に行います。
子宮鏡検査は主に不妊症の原因追及のために行います。
着床の妨げとなるような子宮内膜ポリープや粘膜下子宮筋腫、子宮内腔癒着、子宮奇形、慢性子宮内膜炎などの有無が確認可能です。
検査方法
「子宮鏡」と呼ばれる、細くやわらかい内視鏡を膣から子宮に挿入して検査を行います。
子宮鏡は3〜5mm程度の細さ(当院では外径3.8mmのものを使用)です。
検査をする際は子宮の中を生理食塩水で流しながら子宮を拡張させます。
子宮を拡張する事で子宮の中を観察しやすい状態にすることが可能です。
タイミング
月経が終了したタイミングで行います。
子宮鏡検査を行う際、子宮内膜が厚くなっていると子宮内膜ポリープなどを見落としてしまったり、出血しやすかったりなどのリスクがあるため、子宮内膜が薄くなる月経終了後が適しています。
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費用
自費診療 15,000円
保険診療 3,510円 -
注意事項
子宮鏡検査は痛みも比較的少ない処置のため、麻酔や子宮の出口を広げる処置(子宮頚管拡張)などは必要ありません。
しかし痛みの感じ方も人それぞれですので、強い痛みなどがあった際は我慢せずお申し出ください。
※事前予約が必要です。
内分泌検査、甲状腺検査
内分泌検査は血中のホルモン値から卵巣機能を把握するための検査です。
また、甲状腺検査は甲状腺ホルモンの分泌に異常がないかを確認し、着床に影響がないかを確認するための検査です。
体外受精(IVF)などの生殖補助医療(ART)を行う際には、自然な排卵周期に比べて甲状腺ホルモンの消費が増えます。
このため、ARTを予定している不妊症の女性には、スクリーニング時に甲状腺機能の検査を行います。
TSHの値が一定以上に上昇している場合で言えば、甲状腺ホルモン剤の補充を行うことで、妊娠の成立に成功したカップルが多く存在します。
検査方法
血液を採取して各ホルモン検査を行います。
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費用
内分泌検査 自費診療 15,000円
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注意事項
検査の値は変動することがあります。
AMH検査
「AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査・卵巣予備能検査)」とは、卵巣に存在する卵子の数を推測するための検査です。
自分の卵子のおおよその数が推測できるため、不妊治療が可能な期間を決める目安になります。
卵巣に存在する卵子の数は個人差があるため、こうした検査を行わない限り推測することができません。
また、AMH検査は排卵しにくくなる病気(多嚢胞性卵巣症候群)の診断にも役立ちます。
検査方法
採血を行います。
血液中のAMH値は卵巣内に残る卵子の数を示すため、採血だけで採取できる卵子の数を把握することが可能です。
タイミング
月経周期のどのタイミングでも受けることができます。
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費用
自費診療 5,500円
※2024年6月より、一般不妊治療においてAMH検査が保険適用されるようになりました。適用された場合、検査費用は3割負担の1,800円程度です。
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注意事項
検査の値は変動することがあります。
男性不妊検査(精液検査、DFI・ORP)
男性の不妊検査は、精液検査が主として行われます。
DFIやORPは通常の検査では分からない精子の機能や質、酸化度なども測定することが可能です。
治療を進めていてもなかなか受精しない、良好な胚が得られないなどは精子の質が要因である可能性も考えられるため、一度検査してみることをおすすめします。
精液検査の結果が基準値よりも低い場合は、自然妊娠が難しいことがわかっています。
自然妊娠が期待できる基準値(WHO)
項目 | WHO基準値 |
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精液量 | 1.4ml以上 |
精子濃度 | 1600万/ml以上 |
精子運動率 | 42%以上 |
精子正常形態率 | 正常な精子が4%以上 |
ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル第6版(2021年)より
検査方法
院内、または自宅にて採取していただいた精液から検査を行います。
検査日によってデータが変動するため、最低でも2回検査を行います。
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費用
精液検査 自費診療 8,000円
DFI+ORP 自費診療 20,000円 (別途精液検査代必要) -
注意事項
- 2〜5日の禁欲期間をおいてください。
- 採取時に容器からこぼれてしまった場合にはその旨の報告を願います。精液量が少ない疾患があるためです。
不育症検査
不育症検査は、流産や死産などの原因を特定するための検査です。
不育症とは妊娠が続かない、あるいは妊娠が成立しても出産に至らない状態を指します。
この状態の原因を調べることで、今後の妊娠を成功させるための治療方針を定めることができます。
不育症検査には、以下のような検査が含まれます。
遺伝子検査
流産の原因が「両親の染色体異常」や「遺伝的要因」であるかを調べます。
子宮形態検査
子宮の形状や構造に異常がないか、超音波検査や子宮鏡検査やMRI検査で確認します。
血液検査
血液の凝固異常や免疫の異常(抗リン脂質抗体症候群など)が原因とした流産が起こっていないかを調べます。
内分泌検査
甲状腺ホルモンや黄体ホルモンなど、ホルモンバランスが妊娠維持に影響を与えていないかを確認します。
これらの検査結果に基づいて、不育症の原因を特定し、適切な治療を行うことで、妊娠の成功率を高めることを目指します。
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費用
自費診療 45,000円
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注意事項
- 以前採血で気分が悪くなったことがある方は気軽にその旨を採血者にご相談ください。
- 必ずしも不育症・不妊症の要因は一つとは限りませんので、医師の判断のもと他の適切な検査を併せてお受けいただくことがございます。
Th1/Th2検査
Th1/Th2細胞検査は、免疫システムのバランスを評価し、不妊症原因や妊娠維持などに影響がないかを確認する検査です。
免疫システムとは、体内の病原菌などを排除することで私たちの体を病気から守る仕組みのことです。
Th1/Th2細胞検査は、Th1とTh2のバランスを調べることで、免疫システムが妊娠にどのように影響しているかを評価します。
Th1とTh2の比率が異常だと妊娠の継続が困難になる可能性があるため、このバランスが適切かどうかを確認する必要があるのです。
例えばTh1が過剰でTh2が少ない場合、胚が母体に拒絶されるリスクの高まりが示唆されるため、適切な免疫療法を検討することができます。
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費用
自費診療 40,000円
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注意事項
検査の値は変動することがあります。
※事前予約が必要です。
β2GPIネオセルフ検査
β2GPIネオセルフ検査とは、不妊症や不育症の原因の一つである「β2GPIネオセルフ抗体」を検出する検査です。
原因不明で妊娠や生児獲得まで至らない患者さんに、ご検討いただきたい検査となります。
β2GPIネオセルフ抗体の有無を陽性・陰性で判別します。
β2GPIネオセルフ抗体があることで血栓ができやすくなるため、もし陽性であった場合抗体によって妊娠しにくい・流産が起きやすい状態であると考えられます。
検査方法
採血を行います。
タイミング
月経周期のどのタイミングでも可能
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費用
自費診療 35,000円
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注意事項
採血をしてから結果が出るまで2週間程度お時間をいただきます。
着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)
着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)とは、本来の染色体数よりも多い、または少ない「染色体異数性」がないかを調べる検査です。
染色体異数性があると着床が難しかったり、流産をする可能性が高かったりすると考えられています。
本来、人の染色体数は46本で一定です。
しかしこの本数より多かったり、逆に少なかったりなどの異常があると成長や発達、体の機能などに影響を及ぼす場合があるのです。
こうしたリスクをできるだけ避けるための検査です。
検査方法
事前カウンセリングを経て月経中から採卵周期に入ります。
こちらは通常の採卵周期と同様です。
採卵後、胚盤胞まで培養し、検査基準を超えている胚の栄養外胚葉細胞から細胞を数個採取し検査に提出します。
細胞を採取後、胚盤胞は凍結保存されます。
タイミング
一周期かけて採卵し、実施します。
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費用
自費診療 胚 1 個当たり 100,000円
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注意事項
- 染色体検査を行う場合、事前のカウンセリングが、必要です。染色体にまつわるお話なので、必ずご夫婦でご来院ください。
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完全自費診療です。PGT-A実施の胚を保険診療で移植することはできません。
※保険適応下に採卵を行った胚に対してPGT-Aを行うことはできません。
- 凍結胚を用いたPGT-Aの検査も行っております。
- PGT-Aを行った結果、染色体異常のない胚が得られず、移植できない場合があります。
- PGT-Aはあくまでも栄養外胚葉細胞を検査しているので、児に染色体異常が絶対にないと保証するものではありません。
- 染色体異常のない胚を移植すれば、必ず妊娠するということではありません。
- 染色体異常の検査は流産や生命予後を左右するような大きな異常があるものを検査しております。身体的、知的に障害がない児が生まれるということとは異なりますのであらかじめご了承ください。
- 検査の精度は100%ではありません。結果が出ないことなども考えられます。
- ※自費診療は税込表記です。
- ※保険診療には消費税は発生いたしません。
- ※費用は予告なく変更する場合があります。