人工授精とは
about人工授精(AIH:Artificial Insemination of Husband)とは、女性の排卵時期に合わせて、洗浄・濃縮されたパートナーの精子を子宮内に注入する方法です。
自然妊娠と異なるのは精子が注入される場所のみであり、受精から妊娠までの過程は全く同じです。そのため、自然妊娠に非常に近い方法とされています。
自然妊娠では、膣に精液が入り、精子が子宮に到達しますが、人工授精では精子を直接子宮内に注入するため、精子と卵子が出会う確率が高まります。
人工授精と体外受精の違い
人工授精では、精子を直接子宮腔に注入することで、膣や子宮頸管を通過せずに妊娠を目指すことができ、通常のタイミング法と比べて妊娠率の向上が期待されます。ただし、人工授精の場合でも妊娠は卵管を介して行われます。
一方、体外受精では、人工授精とは異なり、卵子を体外に取り出してから受精させ、その後に子宮腔に戻すことで、卵管を経由せずに妊娠が可能です。このため、卵管に問題がある場合に非常に効果的です。また、妊娠までの多くの過程を省略できるため、その他の不妊原因に対しても高い妊娠率が期待されます。
人工授精のメリット
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01 自然妊娠に近い方法で妊娠率を向上
人工授精は、排卵日に合わせて状態の良い精子を直接子宮に送り込むため、通常の性交よりも高い妊娠率が期待できます。自然妊娠(タイミング法)と同様に、精子と卵子が受精し妊娠が成立する過程を経るため、自然に近い方法と言えます。洗浄・濃縮した精子を使用することで、妊娠率の向上を目指します。
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02 保険適用により経済的負担が軽減
これまで、人工授精は全額自費負担であったため、多くの人が費用面での負担を感じていましたが、2022年4月から、人工授精を含む一般不妊治療や体外受精・顕微授精などの生殖補助医療(ART)が保険適用となりました。これにより、以前よりも低コストで不妊治療を受けることが可能となり、治療のハードルが下がりました。人工授精は体外受精や顕微授精に比べて費用が安価であることもメリットです。
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03 凍結保存した精子を利用可能
単身赴任などで夫(パートナー)が不在の場合、あらかじめ凍結しておいた精子を排卵日に溶解して人工授精に使用することができます。これにより、タイミング法が難しい場合でも、人工授精を行うことが可能です。ただし、凍結精子を使用する人工授精には保険が適用されないため、事前に医師やカウンセラーに相談することが重要です。
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04 精子の質を向上させる洗浄
人工授精では、精子を洗浄・濃縮することで、質の良い精子を子宮に直接送り込み、妊娠率を高めることができます。
人工授精のデメリット
人工授精 (AIH) には、デメリットもいくつか存在します。治療を選択する前に、メリットと同様にデメリットについても理解しておくことが重要です。主なデメリットは以下の2つです。
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妊娠率の大幅な改善は期待できない
人工授精の妊娠率はおおよそ5〜10%程度で、他の不妊治療法と比較すると決して高いとは言えません。これは、一般的な不妊治療で改善できない原因を持つ方が多いためです。また、女性の年齢が上がると妊娠率が低下するため、状況によっては体外受精の検討が必要になることがあります。
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まれに少量の出血が起こることがある
人工授精は、膣から細いカテーテルを挿入するだけで、身体的な負担や副作用が少ない治療法とされています。しかし、精子を注入した際に少量の出血が見られることがありますが、これは通常数日で治まります。
人工授精の流れ
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排卵日の予測と人工授精(AIH)の決定 排卵日を予測するために、超音波エコー 検査による卵胞の大きさや子宮内膜厚を測定し日にちを決定します。血液検査でホルモン値を測定する場合もあります。
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当 日
人工授精(AIH) 排卵の予測日に合わせて人工授精を行います。自宅で専用容器に精子を採取していただきご持参ください。
排卵日から2週間後を目処に妊娠検査薬を使用し、ご確認ください。