体外受精

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体外受精とは

about

体外受精は、精子と卵子を体外で受精させた後、培養された胚(受精卵)を子宮に戻し、妊娠の成立を目指す治療法です。この治療には2種類の媒精方法があり、1つは精液を処理して質の良い精子を選別し、その精子を卵子に振りかける形で媒精させる「体外受精(IVF)」です。もう1つは、優れた精子を1本選び、顕微鏡を使って直接卵子に注入する「顕微授精(ICSI)」です。どちらも精子と卵子を体外で受精させるため、総称して体外受精と呼ばれています。

体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)の違い

体外受精 顕微授精
メリット
  • 顕微授精に比べ自然に近いかたちで受精できる
  • 卵子への刺激が最小限である
  • 体外受精では受精しづらいケースでも受精率が上がる
  • 精子の形態が良好なものを高倍率で観察し選ぶことができる
  • 受精率が体外受精より安定して高めてある
デメリット
  • 精子が2匹以上入る多精子受精が起こる可能性がある
  • 精子が入らない可能性がある
  • 体外受精より人工的な方法になる
  • 針の刺激により卵子が変性することがある
  • 顕微授精料がかかる

採卵までの流れ

flow
  1. 月経前

    • 管理計画書作成(保険の場合のみ)
    • 必要項目採血
    • 採卵同意書お渡し
  2. 月経 1〜3日目

    • 採卵の同意書確認後
      ホルモン採血 + 経膣超音波検査

      → 卵巣の状況に応じた内服薬、注射薬を処方します。

    ※注射は基本的にはご自身で行います。ペン型またはアンプル型があります。

    こちらにアンプルの指導動画がありますので事前にご覧ください。

    自己注射指導には30分〜1時間ほどお時間がかかりますので、初回月経中のご来院はお時間に余裕を持ってご来院ください。

  3. 月経 8〜10日目

    • ホルモン採血 + 経膣超音波検査

      → 卵胞の大きに応じた内服薬、注射薬を処方します。

    ※採血は予約時間の30分前までにお願いします。

  4. 月経 10〜12日目

    • ホルモン採血 + 経膣超音波検査

      → 卵胞の大きに応じて採卵日を決めていきます。
      卵胞の大きさによってもう一度ご来院いただく場合もあります。

  5. 採卵当日

    1. 採卵は静脈麻酔または局所麻酔で行います。採卵自体は15〜25分程度です。
    2. 採卵後、2時間程度経過をみて医師と受精方法等の方針を決めます。
  6. 受精確認

    • 翌日に暫定的な受精結果をメールでお送りしご報告いたします。
  7. 結果説明

    • 採卵から7日目以降にご来院いただき、ご報告いたします。
  • 採卵した周期は、通常胚は全て凍結し、次周期以降に移植を行います。
  • これはあくまでもモデルケースです。個々によって通院回数、通院目的は変わります。

胚の成長

  • 胚の成長:採卵当日

    採卵当日

  • 胚の成長:1日目

    1日目

    前核期胚

  • 胚の成長:2日目

    2日目

    4細胞(初期胚)

  • 胚の成長:3日目

    3日目

    8細胞(初期胚)

  • 胚の成長:4日目

    4日目

    桑実胚

  • 胚の成長:5日目

    5日目

    胚盤胞

  • 胚の成長:6日目

    6日目

    孵化(ハッチング)

  • 胚の成長:6〜7日目

    6〜7日目

胚は2日目には4細胞、3日目には8細胞とどんどん細胞数を増やしていき、4日目には細胞同士がくっつきます。5日目には内側が赤ちゃんになる部分、外側が胎盤になる部分から形成される胚盤胞になります。胚凍結は通常3日目と5日目に行われます。

採卵当日

採卵当日は、良好精子の選別、体外受精または顕微授精を行います。

成熟卵

成熟卵:前 II 期卵の様子

前 II 期卵

未受精卵

  • 未受精卵:前 I 期卵の様子

    前 I 期卵

  • 未受精卵:GV期の様子

    GV期

第1極体がでた卵を成熟卵といい、通常の体外受精・顕微授精に使用することができます。それ以外のMⅠ、GV期の卵を未成熟卵といい、体外受精・顕微授精には使用できません。

受精確認

受精の確認を行います。

  • 正常受精

    正常受精:2PN胚

    2PN胚

  • 未受精

    未受精:未受精卵

    未受精卵

  • 異常受精

    異常受精:3PN胚など

    3PN胚など

採卵の翌日に受精確認を行います。このときに、卵子と精子からの前核(PN)が2つ確認できたものを正常受精といい、前核が確認できないものを未受精卵といいます。また、前核は確認できたものの、2つ以外のものを異常受精といい、通常これらの胚を移植に用いることはありません。

胚移植までの流れ

flow
  1. 月経前

    • 管理計画書作成(保険の場合のみ)(管理計画書は採卵の際に作成していれば不要)

    • 必要項目採血
    • 移植同意書お渡し
  2. 月経 2〜4日目

    • 移植の同意書確認後
      ホルモン採血 + 経膣超音波検査

      → 子宮、卵巣の状況を確認します。
      ホルモン補充または自然周期かを決定し必要時処方します。

    • ホルモン補充周期
      ホルモン剤を用いて内膜を厚くする方法。
      排卵が抑えられ胚移植日をコントロールできますが、ホルモン補充を妊娠10週程度まで続ける必要があります。
    • 自然周期
      排卵させて排卵日から3日後または5日後に移植を行います。排卵日を正確に確定させる必要があるため通院回数が多いですが、妊娠後のホルモン補充は短期間になります。

    ※採血は予約時間の30分前までにお願いします。

  3. 月経 12日目ごろ

    • ホルモン採血 + 経膣超音波検査

      → 子宮内膜の厚み、卵巣の状況を確認の上、移植日を決定します。

  4. 移植前必要な方

    • 医師と相談して必要な方のみSEET液注入、あるいは PFC-FD 注入を行います。

    ※共に事前準備が必要。

  5. 移植当日

    • 移植は通常の内診のような形で、採卵室で行います。
      おひとりあたり15分程度で実施します。移植終了後15分程度回復室で安静にお過ごしいただき、その後着替えて会計です。
  6. 妊娠判定

    • 着床しているか否かを採血で調べます。