不妊症、不育症のあたらしい検査「β2GPIネオセルフ抗体検査」を導入致します。
現在当院では、体外受精・顕微授精を行ってもなかなか妊娠・生児獲得まで至らない患者様【反復ART不成功例】や着床はするがなかなか生児獲得に至らない方【不育症】に対して、様々な検査を行っております。
着床に至らない方に対しては、着床不全の検査として免疫バランスを見る検査、子宮内フローラ検査、ERA検査、ビタミンDの測定、子宮鏡検査、慢性子宮内膜炎の検査を行い、不育症の方に関しては抗リン脂質抗体検査を含む採血での評価を行い、その結果介入が必要な場合に投薬や治療を行ってまいりました。
その結果、妊娠し生児獲得できる症例が増加しましたが、一方でこういった検査を行ってもなかなか妊娠、生児獲得に至らない、明確な原因が特定できないでいる患者様がいらっしゃるのが現状です。
今回、大阪大学が中心となって、不妊症・不育症の原因となる可能性がある新しい検査である「β2GPIネオセルフ抗体検査」を開発し、株式会社Revorfが2022年9月より検査の受注を開始しました。こちらはまだ研究段階で完全自費診療となりますが、全国的にも導入されている施設が増え、札幌市では不育症の検査として助成金が下りるようになるなど、エビデンスもある検査として注目されております。
この度当院でもこの検査を2023年1月中旬より導入することとなりました。
具体的に「ネオセルフ抗体」とは、炎症等の刺激によって誘導されたHLAクラスⅡと自己たんぱく質とが複合体を形成した「ネオセルフ抗原」を認識する自己抗体です。この抗体は抗リン脂質抗体症候群を調べる際の検査項目よりもより感度が高く、従来の基準値では見逃されてしまうような方に対しても、その抗体の量を見ることができ、今までは治療対象外だった患者様の中で、このネオセルフ抗体が陽性となる可能性があります。
またこの「ネオセルフ抗体」は原因不明とされている不妊症患者様の20%程度が該当し、特に子宮内膜症や反復着床不全の不妊症患者様では30%の方が該当すると考えられております。
この検査で陽性となった場合は、抗リン脂質抗体症候群と同様に抗血小板療法・抗凝固療法の介入により着床率・生児獲得率が上昇することが分かっております。当院では自費にはなりますがバイアスピリンを処方予定です。
検査名:β2GPIネオセルフ抗体検査
検査方法:採血
費用:35,000円(完全自費診療)
検査希望の場合:診察時、医師にご希望をおっしゃってください。
採血をしてから結果が出るまで2週間程度お時間を頂きます。
検査詳細は株式会社Revorf ネオセルフ抗体のホームページをご参照ください。
原因不明でなかなか妊娠、生児獲得まで至らない患者様にご検討いただきたい検査となります。
詳しくは診療の際に医師、看護師にお尋ねください。
フェニックス アート クリニック
藤原 敏博