保険診療での体外受精をご検討中の方 2022.03.30
2022年4月より不妊治療の保険適用が開始されます。
厚生労働省は保険診療により、不妊治療の経済的負担を軽減し、子供を持ちたいという方々が安心して不妊治療を受けられることを目指しています。当院でも、保険診療を開始していけるよう体制を整えております。
しかし、保険診療では使用可能な薬剤や処置等があらかじめ決められています。そのため、今までお受けいただいていたすべての治療がそのまま保険診療として受けていただけるとは限らず、薬、注射の仕様、治療が一部制限されることもあります。保険適用制度について、現在検討中の内容も多く、不確定な内容もございます。
当院では藤原医師が経験から実施し、金谷はじめ他医師に継承している個々の患者様それぞれに最善と考えられるオーダーメイド診療を行ってまいりました。「最短の妊娠をめざす」を今後も目指し診療を継続していく予定です。保険診療をご希望されている場合にも、自費診療をご提案する場合もございます。もちろん、費用面が大きく異なりますので、十分に医師と相談していただいた上で、治療を進められる体制を整えていく所存でございます。
基本となる保険診療の情報は厚生労働省の以下のリンクより各自でご確認ください。
厚生労働省:「不妊に関する支援について」
保険診療に際してのご案内
●保険適用の年齢
・タイミング療法、人工授精:年齢制限なし、回数制限なし
・体外受精、顕微授精、胚移植、融解胚移植:年齢制限あり(治療計画書作成日において43歳未満)、回数制限あり
●保険適用での体外受精、顕微授精、胚移植、融解胚移植の回数制限
保険適用になった初めての胚移植術に係る治療計画を作成した日における年齢で、胚移植回数が決定します。
①初回作成日が40歳未満:胚移植回数6回
②初回が40歳以上43歳未満:胚移植回数3回
※保険診療における回数制限の回数は胚移植の回数です。採卵回数はカウントに入りません。
ただし、胚移植の回数制限を超えた場合は、年齢に関わらず保険適用の治療計画は作成できません。ご自身での「胚移植回数の正確な管理」が必須になります。回数制限についての虚偽申告や思い違いによる誤りがあった場合には、後ほど当院規定の自費診療の算定を自己負担でお支払いしていただく必要が生じます。
※当院に転院してくる場合でも前の治療施設での保険診療の胚移植回数の報告が今後必須となります。
※胚移植により妊娠し出産した後に、次の児の妊娠を目的とした場合はその治療開始日の年齢で新たに胚移植回数が決定します。
●保険と自費の混合診療について
保険での治療を行う場合は自費診療との併用、すなわち「混合診療」が厚生労働省や社会保険支払基金より禁止されております。
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●カップル確認書類について
保険診療での治療には婚姻関係の確認が必須となりました。これに伴い、現在は治療同意書の提出を持って確認しておりましたが、新たに治療に入る前に下記を確認させていただくこととなりました。こちらを確認できない場合、保険、自費関わらず治療周期に進めませんのであらかじめご準備の上ご対応ください。
なお、婚姻関係の確認に関しては、どの治療(タイミング、人工授精、体外受精、胚移植)においても必要です。
【確認書類】(発行日から3か月以内の公的書類)
婚姻関係(入籍済みの方):戸籍謄本 (1回ご提出)※返却します。
事実婚:個々の戸籍抄本もしくは独身証明書(年に1回ご提出が必要です)
※事実婚を含む未入籍の場合、治療中に書類の発行日から1年経過する場合は再度書類の提出が必要です。
【提出書類】 治療周期に入る際に必須
当院規定の婚姻関係証明書
ご夫婦(パートナーと一緒に)で治療計画を作成する際に医師の説明のもとその場でサインを頂きます。
保険診療の場合は確認書類、提出書類の両方が確認でき(次項記載の管理計画書をご夫婦と作成後)、治療開始となります。
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●ご夫婦の治療計画について
保険診療での治療を開始する際は医師が作成した治療計画書を説明し、ご夫婦に同意いただく必要があります。
初回治療計画作成日は、ご夫婦での来院が必須となります。
治療計画作成日とは、(タイミング療法、人工授精)体外受精の治療を始めるにあたり、医師と今後の治療計画を立てていただく日になります。治療計画の見直しの際には、再度ご夫婦での来院が原則必須となります。
≪予約方法≫
・希望する治療周期の前の周期
※治療計画が夫婦で立てられない場合は、保険での治療開始ができません。
※治療計画書作成内容が変更になる場合、ご夫婦の来院が必要です。
・【治療計画書作成】でご予約ください。
※ご夫婦で必ずご来院ください。
※採卵や移植に必要な感染症採血、術前採血などを採血させていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
●保険診療の採卵・胚移植について
①保険診療で採卵した胚がある場合(凍結保存)は、それを先に胚移植していきます。
余剰胚がある状態で次の採卵は保険適用されません。
②2022年3月までに自費で採卵し、凍結胚がある場合、4月から保険診療での胚移植は可能ですが、余剰凍結胚が残ったままでの次回採卵を保険診療で行うことができません。
③2022年4月以降に保険診療で凍結した胚は原則保険診療での胚移植になります。
④保険診療での採卵周期に精子凍結はできません(パートナーが長期の出張など、採卵当日の精子提出が難しいとされる場合は、採卵周期の前に、事前にご相談ください)。
採卵の周期はご夫婦ともにスケジュールを合わせて開始してください。
●保険適用の薬について
保険診療で治療を行う場合は注射薬、内服薬に関しても一部保険適用となりますが、決められたお薬の種類、投与量、日数など制限がございます。
いままで自費で使用していた薬が保険適用外の場合は、使用することができません。
●先進医療について
先進医療とは本来自費診療のため、保険診療と併用できない医療を「先進医療」という枠組みを作り、保険外併用できると厚生労働省が決定したものをいいます。併用できる医療の内容は厚生労働省によって決められています。
現在、ERA/EMMA/ALICE、SEET法などが申請されています。
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〇保険適用にならない治療
・PFC-FD作成、注入
・RIF検査(VitD採血、免疫バランス検査、Vorinosフローラ検査、慢性子宮内膜炎検査)
・連続採卵(1周期に2回採卵)
・貯卵(採卵して受精卵を獲得した後、移植せずに再度採卵をすること)
・PGT-A【着床前診断】(先進医療Bに申請中。厚生労働省より施設認定された施設のみ先進医療として実施できる可能性がある)
※体外受精の適用とならない場合、社会的理由での卵子凍結、医学的理由の精子、卵子凍結はすべて保険適用とはなりません。
〇保険適用にならない薬剤
≪採卵周期≫
排卵予防のために使用する:マーベロン、レルミナ
採卵決定時の卵胞成熟剤 2剤併用:オビドレル+スプレキュア
採卵決定時の尿検査
卵胞発育を目的とするための薬剤:マーベロン、プレマリン
≪移植周期≫
子宮内膜が薄い、着床障害予防目的:バイアスピリン
着床障害予防目的:プログラフ、プレドニン
胚移植後の子宮収縮抑制剤:ダクチル、ブスコパンなど
ホルモン補充周期に使用している薬剤:バイアスピリン、ユベラ、スプレキュア、レルミナ
※その他保険適用にならない薬剤、治療もございます。また情報が今後更新される可能性もございます。
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●スケジュールの変更について
①保険診療のスケジュールから自費診療のスケジュールへの切り替えはできません。
②体外受精、顕微授精、胚移植の治療計画を決定した後に、自己都合により治療時期を延期する場合は、再度治療計画作成の診察に来院が必要になります。
●凍結胚延長について
凍結胚延長を保険で行う場合は「医学的に妊娠前に治療など行う必要があり、受精卵を移植することができない、または医師より妊娠を延長するよう指示があった場合」のみです。
妊娠後の余剰胚の延長や自己都合での延長は自費での延長となります。
●高額療養費について
保険診療での診療は高額療養費の適用となります。
※注意:高額療養費での対象治療費は月ごとになります。月をまたぐと限度額に達せず請求できない場合がありますので、ご留意ください。
●特定不妊治療費助成事業について
経過措置により、年度をまたぐ1回の治療(治療の開始が令和4年3月31日以前であり、1回の治療の終了が令和4年4月1日から令和5年3月31日までの治療)
※詳細は東京都保健福祉局ホームページ
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